349台+追加生産50台の合計399台が生産され、そのうち日本国内正規輸入台数は33台である。新車価格は邦貨換算7,850万円ともいわれています。

また、GTレースへの参戦を目指してコンセプトモデルが製作されたが、正式に発表されないままでありました。

コクピットを強靭なバスタブモノコック形状とし、そこからサブフレームを伸ばしてエンジンをマウントする。F50との大きな違いは、F50が同じカーボン製フレームを用いつつもエンジンをフレームの一部とみなして走行中のストレスを負担させる構造を持つのに対し、エンツォフェラーリはサブフレームにブッシュを介してマウントする方式であり、純粋なレーシングカー的レイアウトを採るF50と比較し、ずっとロードカーらしい設計となった。エンジンとフレームが直接連結されるF50は騒音や振動対策の面で不利な要素を持っていたものの、エンツォはゴムブッシュという緩衝材をかませてあるので快適性の向上に寄与、エンジンは外部からの応力を受ける必要がないため徹底軽量化が図られ単体重量は225kgです。

型式名F140Bのナンバーを持つエンジンはこの車のために開発されたものであり、排気量5,998cc、65°のバンク角を持つ水冷V型12気筒DOHCエンジンで、シリンダブロックはアルミニウム合金製。最高出力660PS、トルク67kgf·mと非常に強力なスペックを誇り、回転数は最高8,200回転まで許容するが、吸排気バルブの開閉タイミングを適切に調節する可変バルブタイミング機構のおかげで決して高回転だけのパワーバンドを持つエンジンではない。この心臓と軽い車体のおかげで、最高速度は350km/hと公表されています。

トランスミッションは保守的な6速に落ち着いたが、セミオートマチックトランスミッションF1マチックを搭載し、クラッチペダルを廃したが、自動変速モードは搭載されておらず、パドルシフトによる手動変速操作が必要となる。

足回りはまさにレーシングカー直系の風格を感じさせ、四輪ダブルウィッシュボーン、ショックアブソーバー+コイルユニットをフレーム側に取り付け、プッシュロッドで押すインボード式が採用されている。ブレーキはブレーキローターにカーボンセラミック素材を使用したブレンボ製。装着されるタイヤは当時F1グランプリで密接な関係にあったブリヂストンの「ポテンザRE050スクーデリア」という専用品である。

非常に過激なスペックにもかかわらずASRと呼ばれるスタビリティコントロールを搭載し、これが機能する限り、一般道でドライバーがコントロール不能に陥る危険を低くしている。ASRは任意にカット・オフすることも可能。かつてのマクラーレン・F1の性能はロードカーとしてはすでに危険な領域に踏み込んでいたが、エンツォはこのASRの搭載により、マクラーレンに迫る性能を持ちながら、ロードカーとしての安全性を確保している。

エンジン、ミッション、サスペンション、ASRは統合制御され、ドライバーは「ノーマル」、「スポーツ」、「レース」の制御プログラムを選択できる。「レース」モードでASRオフを選択したときには、スタート時にローンチコントロールを使用したレーシングスタートが可能である。