F8スパイダーはヘッドレスト背後のロールオーバーバーから後端へと連なる2つのバットレスが、F355までのミドシップフェラーリを象徴するトンネルバック&フラットデッキのスタイルを思い起こさせる。デザイン的なすみ分けは458や488の代に対して、より明瞭で巧みになった。
また、F8トリブートではクーリング能力の向上とともに、Sダクトやブロウンスポイラーなどの新しい空力要素を取り入れて、猛烈なパフォーマンスを御する重要なファクターをデザインと両立させている。F8スパイダーでは車体後半の形状が異なるものの、冷却や空力のセクションへと効率的に導風する形状が織り込まれており、オープン化によるドライバビリティーへの影響はないという。
F8トリブートに対しての実用面での差異はほぼありません。トンネルバックスタイルの影響で斜め後方視界がさらに厳しくなる点は致し方ないが、あとは我慢するようなことはない。Sダクトの影響で、フロントトランクの容量は488世代に対して30リッター減っているが、シート背後には相変わらずジャケットや手荷物などを置けるスペースが確保されている。想定されるライバルの使い勝手を知るに、そつのなさはさすがにセグメントリーダーの風格。
開閉方式は2分割された天板が反転しながら重なり、コンパクトに束ねられながらトノカバーの内に収まっていく。所要時間は開閉ともに約14秒。そして約45km/h以内であれば走行中での開閉も可能。